パチンコ/パチスロ業界の課題は新規参加者を大きく上回る離反者

カジノ研究家のレジャー業界分析

パチンコ/パチスロ業界の課題は新規参加者を大きく上回る離反者

文 = 木曽 崇(国際カジノ研究所 所長)/text by Kiso Takashi

本稿では、弊社・国際カジノ研究所が通年実施している調査「エンタテインメント白書」からパチンコ/パチスロに係る分析をコラム形式でご紹介してゆく。「エンタテインメント白書」はレジャー業界を対象としたオンラインベースの調査であり、書籍ベースの類似調査と異なり、通年で新しい調査を継続実施し、その結果を配信している点が特徴だ。

今回ご紹介する調査は2025年11月4日から11月7日に国内在住の15歳以上の男女6,000人を対象として実施したものであり、10代(15歳以上)~70代以上を10歳刻み×性別で区分けした14セグメントからおよそ同数ずつ収集し、我が国の人口統計に突き合わせた上で加重集計(ウェイトバック集計)を行っている。

調査の対象としているゲーム種目は、囲碁、将棋、オセロ/リバーシ、チェス、バックギャモン、ポーカー、カジノゲーム(ポーカー以外)、ビデオゲーム(含む、家庭用、携帯用、PC、スマホ、アーケード等)、麻雀、パチンコ/パチスロ、宝くじ、totoくじ、競馬(中央競馬、地方競馬)、競輪、ボートレース、オートレース、トレーディングカードゲーム、コントラクトブリッジ、テーブルトークRPG、カルタ/百人一首の20種。

設問は、「以下のゲーム種に関してあなたの『間近1年の』参加状況をお答えください」とし、①以前からやっている、②間近1年で始めた、③間近1年で辞めた、④以前からやってない、の選択肢から一つを選択させている。

世の中にはパチンコ/パチスロを含む各種レジャーの参加率を推計する多くの類似調査が存在するが、当研究所の「エンタテインメント白書」は「参加率推計」をあまり重視していない。当調査が焦点をあてているのは、各種レジャーを「間近1年で始めた」と回答した者と「間近1年でやめた」と回答した者の割合であり、例えばその比率差(%ポイント)を「参加増減率」と定義して分析を行う。参加増減率は「間近1年で始めた」回答者率から「間近1年でやめた」回答者率を引いた値、すなわちその1年での当該ゲーム種への参加者率の「増減」を表す。

パチンコ/パチスロはワースト2位

参加増加率の比較では、今回調査対象となったゲーム種の内でパチンコ/パチスロは、宝くじに次ぐワースト2にランク入りしており、間近1年の参加増減率はマイナス4.1%ポイントとなっている(やめた人が超過)。今回調査対象となった20ゲーム種中では、「参加者に逃げられている」圧倒的な負け組に位置すると言ってよいだろう。

性年代別の集計では、パチンコ/パチスロを「以前からやっている」と回答した者の比率が最も高いのが4 0 代男性( 2 7 . 7 % ) 、次点で3 0 代男性(24.0%)である。一方で「間近1年で始めた」と回答した者の比率が最も高いのは20代男性(8.9%)、次点で20代女性(6.5%)であった。一般的にパチンコ/パチスロは女性に好まれるレジャーのイメージはないが、10~30代の若年層男女だけに限定してみると「間近1年で始めた」回答者の比率は男女間に大きな差はない。むしろ参加増減率でいうと、20代女性が2.5%ポイント増、30代女性が0.7%ポイント増と、間近1年で参加率が増えているのがこの層であり、現在のパチンコ/パチスロは意外にも若年女性層に「刺さっている」と分析される。

一方、「間近1年でパチンコを辞めた」と回答した者の割合でいうと、70代以上男性が最大(16.1%)で、次点として60代男性(10.0%)が続く。この層は加齢とともに、パチンコ/パチスロのみならず多くのレジャーから離脱する傾向の高い層である。

今回の調査結果において注視すべきは、20代男性の「間近1年で辞めた」とした回答率がそれら高齢男性層に続く第3位(9.3%)となっている点である。先述のように、この20代男性層は「間近1年で始めた」回答者率が全カテゴリー中で最も高い。要はこの層において多くの「お試し新規参入」が発生し、同時に多くの離脱者も出ていると言える。その結果、この層の参加者増減率がマイナス0.4%ポイントとなっていることは、パチンコ業界にとっては好ましくない状況でもある。

ちなみに女性において同じく「お試し需要からの離脱」が最も多い層の20代女性が、パチンコ/パチスロの参加者増減率で2.5%ポイントと大きくプラスに振れている点を考えると、20代男性に向けた業界施策は相対的に「あまり上手くいってない」という評価になる。次号も引き続き「エンタテインメント白書」による調査分析をご紹介する。


■ 木曽 崇
ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)、日本で数少ないカジノの専門研究者。米国大手カジノ企業、エンタテインメントビジネス総合研究所を経て国際カジノ研究所設立。

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