文 = 三堀 清(弁護士)/ text by Mihori Kiyoshi
東京都遊技業協同組合(都遊協)加盟ホールでは、統一景品(賞品)として金地金が提供される。この金地金は、遊技客が東京ユニオンサーキュレーション㈱(TUC)傘下の景品買取業者に売却され、買取所が東京商業流通協同組合(東商流)加盟の景品卸業者にこれを転売し、集荷場での互換を経て、卸業者からホールに納品されるのである。
この東京方式は、平成3(1991)年、暴力団による犯罪に至らないグレーゾーンにある不当な行為を禁圧する暴対法の制定に合わせ、景品流通からの暴力団排除を目的として導入が開始されたのである。
このように東京方式は暴力団排除が目的だが、交換される出玉に見合った価値の景品を提供することで等価交換規制(風適法施行規則36条2項1号イ)に適合し、買取所からホールへの景品の還流も防止できる等、厳格な三店方式を実現するシステムとしても評価されてきた。
しかし、そもそも金地金は、「一般に日常生活の用に供すると考えられる物品」(風適法施行規則36条2項2号)なのか疑問が残る。また、現金や有価証券に勝るとも劣らない経済的価値を具現化する金地金を景品として提供するパチンコが賭博にならないのかという問題もある(この点は、風適法解釈運用基準第17‐12⑴で「(風適法)23条1項1号の有価証券には、金地金は含まない」として一応の手当はされている)。そのうえ、かつて1g数千円であったものが、近時2万5千円を超えるまで値上がりが続く金地金は、より高値で買取りをする古物商への流出や退蔵により在庫不足が生じているし、景品の価額の上限を税抜きで9千600円とする規制(風適法施行規則36条3項)との関係で景品に適しているのかという問題もある。

他方、東京方式は、長期的な売上減少とホール数の激減で運営経費に窮して集荷場の閉鎖・集約が進められた結果、景品を搬入する卸業者の燃料費や人件費の負担増を強いるという悪影響も出ている。
また、卸業者の廃業に際しては、東商流に規定数の金地金を返納(売戻し)しなければならず、前述の流出や退蔵で規定数を揃えられないときにはペナルティが課されるというルールがある。これは、自己の所有物を誰に幾らで売ろうと自由とする資本主義の大原則に反し、廃業の自由さえ脅かし、独禁法違反の問題を生じる可能性もある。
以上、高い評価を得ていた東京方式は、暴力団排除という目的は達成したが、金地金の価格高騰とホール数の激減少という想定外の事態により制度の崩壊に瀕している。
今や、都遊協、東商流及びTUCにとって、金地金以外の景品の提供を認め、集荷場での互換に代わる還流防止制度を構築することが喫緊の課題である。
とはいえ統一景品としての金地金の使用を止めた後に、ホール業者が無価値な景品を換金のツールとして使ったり、卸業者を介して買取資金+運営資金を買取業者に提供したり、景品の還流があったりする状況への逆戻りは回避しなければならない。特に、取扱数量減少により、ホール業者から買取業者に定額の買取手数料を支払うことは、自家買いの禁止(風適法23条1項2号)、景品の買取らせの禁止(東京都の風適保施行条例7条2項2号)に違反することを銘記すべきである。
かかる事態の回避のため、買取業者は遊技客からの買取価格と卸業者への転売価格との差益で運営され、卸業者は買取業者からの仕入額とホール業者への卸価格との差益で運営されるという当たり前の経済取引としての流通システムを確立して、買取業者の独立性を担保し、厳格な三店方式実現のための体制を構築するときである。



