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人事トップの目線|玉屋(福岡県福岡市)

2024年に社風改革スタート
フラット化でスピードアップ

福岡県と佐賀県に「玉屋」の屋号でホール12店舗を展開する玉屋(福岡県)は7月7日、社風改革を加速させるため、組織階層を減らしフラット化する組織改編を実施した。同社がより「風通しのいい組織」への変化を目指すのは、「もっとスピーディーな判断とベストな選択ができる組織」になるためだ。 取材=パック・エックス

株式会社玉屋 経営戦略チーム 土井敏秋 チームリーダー

組織改編と人事制度の見直し

人事責任者という立場から業界を見ると、社会的なイメージ、そして遊技参加人口減少といった要因が重なり、業界全体に閉塞感が漂っていて「若い世代にとって未来が見えにくい業界だと思われていること」が大きな課題だと感じています。このような状況だからこそ、私たちは「変化に敏感に対応できる組織文化」の重要性を強く認識しています。「従来のやり方ではこの先、戦い続けることはできない」という危機感を経営陣と幹部社員が共有しており、だからこそ、挑戦する人材を正当に評価する仕組みが必要だと考えています。

2021年には当時の山喜多社長のもとで社風改革の準備を始め、2024年1月1日には「自由に意見を出し合うフラットな組織」「チームで働く組織文化」「自ら考え行動する組織文化」を目指すプロジェクトを本格スタートさせました。そして今年、山口社長体制のもとで、7月7日に組織を大きく改編し、「部長」や「課長」といった縦割りの職位を廃止し、階層を減らしてフラット化しました。敬称も「さん」に統一しました。

狙いは、役割で動く組織への切り替えによる意思決定のスピードアップです。組織がフラットになることで、承認プロセスが簡素化されるだけでなく、個々の業務の幅が広がり、一人ひとりの生産性向上も期待できます。若い世代でも自分の役割と責任範囲が明確になり、挑戦しやすい環境になると期待しています。

評価基準を明確化し、報酬制度も刷新

「この業界でどんな未来が描けるのか?」という若い人たちの問いに対し、きちんと答えられるよう、評価制度や人事育成制度の見直しを進めています。若い人にとって大切なのは、自分が成長している実感だと思います。ですから、何をもって評価しているのかを明快にすること、評価が待遇や昇進にどう反映されるのかを可視化することが重要だと考えています。また、「やれば報われる」ことを見える化することは、エンゲージメントを高める上での一番のポイントだと考えています。

当社が目指しているのは、「働きやすさ」と「働きがい」を両立する、いわゆる「プラチナ企業」です。7月に組織改編で「役割と成果で評価する仕組み」に切り替え、評価基準の明確化を図るとともに、「評価の結果を昇進チャレンジ制度や昇格に連動させる制度」「成果報酬型の賞与制度」を導入しました。

「人にしかできないこと」を模索する

店舗の省人化が進む中で、これからは「人にしかできないこと」が重要になるでしょう。特に重要だと考えているのは、「観察眼」と「親切心」です。観察眼とは、店内をくまなく見渡し、お客様の些細な表情の変化や異変に気づく力です。親切心とは、お客様に言われる前に気づき、先回りして行動する心遣いを指します。例えば、不安そうにしているお客様への声かけ、遊技の説明だけでなく快適に過ごせるための周辺情報の提供、お客様が笑顔になれるような一言や気遣い、そして気持ちよく帰っていただくための最後の声かけなどです。機械には決してできない、人だからこそできる仕事です。

個人的な見解ですが、これは「エンタメ性」に通じるものだと思います。遊び心や人を楽しませる資質です。ディズニーやUSJのキャスト、あるいはメイドカフェのスタッフのように、お客様の心に届く対応ができる、舞台演者のような資質とも言えるかもしれません。

「観察眼」や「親切心」といった要素は、研修やOJTを通じて育むことも可能だと考えています。そのひとつの方法が、具体的な行動事例をマニュアルに落とし込み共有することです。現在、社内では「ベストサービススタッフ」コンテストを実施しています。各店長からの推薦に基づき、人事部の社員がミステリーショッパーとして店舗を訪問し、採点し、表彰しています。選出されたスタッフには手当が支給されますが、それで終わりではありません。ベストサービススタッフは月1回「接客ミーティング」を実施しており、現場での接客対応事例をまとめた「接客ハウツー冊子」の作成を進めています。

人の考え方を変えるのは難しいですが、行動が変われば考え方も変わるという発想で、まずはお手本を示し、どう行動すればお客様に喜んでもらえるかのヒントを提示します。それをもとに行動しお客様の反応を体験することで、自ずと観察力や親切心が育まれていくと信じています。

周囲を巻き込み変化を起こせる人材

冒頭でお話した組織改編はスピーディーに動くため。すなわち求められる人材は、変化に即応できる人、ということが前提です。そして、中核人材の要件も従来とは異なるものになるでしょう。今後の経営環境の変化を踏まえると、「現場力」「思考力」「発信力」を持った、現場型の経営人材だと考えています。ですから当社では、評価や昇進昇格を連動させる仕組みを整えたり、プロジェクトや委員会などの横断的な活動を通じて「自ら考え行動し、周囲を巻き込んで動かす力」を養う取り組みを進めています。

この新しい制度は、以前の部長職(現在は部長という職位はない)以上の、いわゆる幹部社員も対象です。中核人材とは、単に上に立つ人ではなく、周囲を巻き込み、変化を起こせる人です。そうした人材が、現場や本部からどんどん輩出される組織にしていきたいのです。[END]

※本記事は『Answers』2025年秋号の転載です。記事内容は取材時点のものです。

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