採用プロセスの再設計 Part 2 生成AIが変えた「採用活動」

生成AIの普及により、求職者は仕事探しの入り口から選考面接に至るまでAIを使い始めている。企業は求職者のこの変化にどう対応し、かつ高騰する採用コストを抑えるために採用プロセスをどう効率化すべきなのか? 文=田中 剛(Answers編集長)

一次選考の工数を80%削減したAI面接

採用を担当する部門は、エントリーを増やすために創意工夫しているが、それと同時に、エントリーに対応するマンパワーが足りないという状況もある。求職者は複数社にエントリーしているのが普通なので、初動の遅れが深刻な機会損失になり得る。応募発生から面接日程の調整までを、いかに短縮するかが課題だ。

特に飲食店チェーンでは、店舗責任者がアルバイト応募者からのエントリーにすぐに対応するのが難しいため、以前から本部やコールセンターで一元対応することが一般化していた。この対応をさらに高度化させ、即時対応、面接工数の削減、評価の標準化(評価のムラの解消)を目的に、アバターが一次対応する「AI面接」の導入が急速に進んでいる。吉野家はその先駆者だろう。また、ローソン、キリンホールディングスなどの大手企業が、新卒採用においてもAI面接を導入したことも話題になった。

「スーパーホテル」のブランドで、国内178店舗、海外2店舗のビジネスホテルを展開するスーパーホテル(大阪府)も、新卒採用の一次選考対応にリソースが追い付かず、面接の枠を開けられず選考を希望する学生を取りこぼしてしまうケースがあった。そこで2025年5月に、対話型AI面接サービス「PeopleX AI面接」を導入した。

スーパーホテル総務部人事グループの上田大貴課長代理によると、従来は一次選考の対応に週10時間ほどを要していたが、AI面接に切り替えたことで2~3時間へと大幅に短縮した。「空いた時間で、学生のフォローや、母集団形成のための動きなど、より本質的な業務に時間を使えるようになりました」と言う。

スーパーホテル 総務部人事グループ 上田氏(左)、北川氏(右)

このAI面接サービスは、企業ごとに質問や評価項目のカスタマイズができる。また、深堀りすべき要素を指示することで、アバターは設定した時間の範囲内で深堀り質問を実施しながら面接を進める。そして、求職者の応答をもとに各項目をスコア化し、採用のマッチ度を算出する。

だが上田氏は、「決してAIが算出する点数だけで判断するわけではありません」と強調する。

「面接の動画やレポートの内容を必ず見ます。その上で、最終的な合否判定は必ず人の目で行います」と、あくまで人間のパートナーと位置づけて利用している。

PeopleX 砂田滋弘 専門役員

「PeopleX AI面接」を開発したPeopleXのAI面接・AIセールス事業統括責任者の砂田滋弘専門役員は、AI面接が解決できることは下記の3点に集約できると言う。

第1に、日程調整不要で、24時間対応で工数削減できる点。

第2に、面接者による評価のムラをなくし、応募者を正しく評価できる点。面接内容は録画・文字起こしされ、自動で評価レポートを生成するので、候補者を公平に評価できる。

第3に、従来よりも多くの候補者と接点が作れ、出会いの幅を広げられる点。

対話型AI面接サービス「PeopleX AI面接」

筆者は実際にデモを見たが、AIの応答は想像していた以上にスムーズだ。スーパーホテルの上田氏が、複数のサービスを比較検討した結果、「一番人間らしく、感情を感じたのがPeopleX社のAI面接でした。私たちはサービス業なので、面接でも応募者の方に心のこもった会話を感じていただくべきだと考えています」と語っていたことに納得した。

砂田氏は、AI面接ツール全体について、「各種のアンケート調査から言えることは、AI面接を選んだ方のほとんどは、AIを相手に応答することに抵抗感を持っていない」と言う。

「特に弊社は、面接を受けた方に良い印象を持っていただくことを重視していて、求職者に寄り添った高い対話レベルにこだわって開発しています。結果として、『人よりAI相手のほうが緊張せずに話ができた』など好評価をいただいています」(砂田氏)

パチンコ業界に特化して採用支援をおこなうパック・エックスの中村祐希執行役員は、「売り手市場の業界で、企業は人材を選ぶ立場とは言えない。会社説明会であれ面接であれ、自社に興味を持ってくれた人材を惹きつけるプレゼンの場と考えるべき。そして採用の成否を決める大きな要素は、採用担当者の人間力や熱量です」と指摘する。

学生の視点に立って自社の魅力を語り、入社後のイメージを形成してもらう。そして、次の選考フェーズに参加してもらう。このプロセスのどこでAIを活用すべきか。

「パチンコ業界の場合、応募者を評価するためのAI導入というよりも、歩留まり率を高めるためのAI導入という考え方が必要でしょう」(中村氏)

パック・エックス 中村祐希 執行役員
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