新体制が推進する組織改革|延田尚弘 株式会社 延田エンタープライズ 代表取締役社長 Part 2

エンターテイメント企業として新たな領域へ

延田尚弘/NOBUTA NAOHIRO 株式会社 延田エンタープライズ 代表取締役社長

「123」「123+N」などのブランドで関西を中心にパチンコホール67店舗を展開するほか、ゴルフ、温浴、外食など多角的なエンターテイメント事業を手掛ける延田グループ。2019年5月に代表取締役社長に就任した延田尚弘氏は、カリスマ創業者である先代からのバトンを受け継ぎ、直後に訪れた新型コロナ禍という未曾有の危機を乗り越え、会社を安定軌道に乗せた。パチンコ事業の課題と現場改革、そしてデジタル領域やM&Aを駆使した新規事業への展望について詳しく話を聞いた。〔文中敬称略〕

聞き手=松林孝征(パック・エックス 社長)/構成=田中 剛(Answers編集長)/写真=丸山 裕

のぶた・なおひろ 大学卒業後、海外留学、メーカー勤務を経て、1998年に延田エンタープライズに入社。2019年に代表取締役社長に就任。基幹事業であるパチンコ店舗のスクラップ&ビルドと組織風土改革を推進している。保有パチンコホールは「123+N」「123」など67店舗、総台数52,795台。

延田 若い新規ユーザーを増やすことも必要ですが、私は、50歳前後の休眠層を呼び戻すことのほうが手っ取り早いのではないかと思います。一般ユーザーとホールを巻き込んで、「あなたの今まで一番好きだった台は何ですか?」とか、メーカーごとに「このメーカーで一番好きだった台は何ですか?」と広く意見を聞いて、その 1 位の台を、今の規則で作れる範囲で極力、当時のスペックで再現したらどうでしょうか。もちろん、液晶なんかは最新のものにして。

延田 昔の話をすると懐古趣味と思われるかもしれませんが、昔のパチンコは、今のパチンコとは違う面白さがありました。面白さの幅を広げるという意味でも、かつての名機の復刻で休眠層に訴求することは考えていただきたいです。私たちの世代は、子どものころからテレビゲーム、ファミコンがあったので、かなり複雑なこともやってきたんです。パチンコ・パチスロに復帰するきっかけとなる遊技機さえ出れば、そこから高齢になってもまだまだ遊べると思うのです。

延田 お客様に優しい営業をすることでしょう。会社は利益が必要ですが、あまりに多くのお客様から「回らない」という不満の声が聞こえます。パチンコというビジネスの本質は、お客様に楽しんでいただくエンターテイメントですから、事業者の利益率が高くなればいいということでもない。そこで弊社では、特に旗艦店で、「お客様を増やす」「来店頻度を高める」ことを重点目標として取り組んでいます。

延田 重要度が高い大型店の5、6人の店長を交代しました。かつて凄腕店長で、すでに数店舗を統括するエリア長という店長の上の役職になっているような人たちに、今年1月から店長に復帰してもらいました。エリア長は店長の上の立場ですが、店長の判断を尊重し任せることも必要ですから、遠慮が出てしまいます。「こうしたほうがいいのに」と思っていても、大きなズレでない場合には、強くは言えないため、店長として現場に戻ってもらったのです。

延田 彼らは店長だったころ、エリアマネージャーを目指して仕事を頑張ってきたわけですから、当人たちとしっかりと話をして、「決して降格ではない」ということを理解してもらう必要がありました。これは会社として非常に重要な、お客様に優しい営業をしながら絶対に稼働を上げるという使命を背負っての店長復帰です。今の状況下でもう一度、店長の経験を積んで、それから改めてステップアップしてもらいたい。そんなことを伝えました。

延田 父はカリスマ経営者的な存在で、しかも本当に細かいところまで目を配り全て指示を出すタイプでした。社員の行動は速いので、組織として非常にスピード感がありました。しかし、父が指揮を執っている頃から、私は、「これを続けていては、自分から考えて動くことができないようになってしまう」と危惧していました。自分たちで考えて、責任を持って動く組織にしていくことが、これからの会社に必要になると思っていましたから、私が社長に就任するとすぐに変革に着手しました。

延田 年始の全体ミーティングなど、機会あるごとにスローガンの意味を説明したりしましたが、これだけではすぐには変わりません。もともと「エンターテイメントの本質を追求するサービスと誠実な心で、明るい社会作りへの貢献をめざす」という企業理念がありましたが、人によって捉え方が違う部分もあると気付きました。そこで、現場の社員中心のプロジェクトチームを作り、新たに5つの行動指針を策定しました。行動指針があることで、それぞれの部署がそれぞれの立場で「自分たちはどう行動していくべきなのか」が以前よりわかりやすくなりました。

延田 毎週行っている営業部の幹部会議を例に挙げますと、かつては社長(先代)へと一方向の報告が中心でした。今は、互いが1週間の振り返りを共有して、自分たちで問題提起して、それについての対策案も出し合うという感じで、話が飛び交います。また、営業を客観的に見るための戦略部という部署を作ったので、議論の視点も以前より多角的になっています。会社全体として、社員からの発案が多くなりました。

>>> Part 3 に続く(8月10日に公開予定)

>>> Part 1はこちら

聞き手=松林孝征(パック・エックス 社長)
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