ぱちんこ本来の魅力を持つハネモノ機 思いのほか導入が広がらない事情とは?|遊技機開発者の視点

文 = 荒井孝太(チャンスメイト 代表取締役)

前回掲載の当コラムにて、ぱちんことパチスロのスペック性能面の違いについて書きました。昨今の大きな流れとして、ぱちんこがより複雑になりゲーム性や性能面含めてパチスロ化してきている側面があるという状況において、ハネモノ機というのはパチスロ機では味わうことができないぱちんこ玉の動きや役物の面白さ等、ぱちんこ本来の魅力が詰まった機械と言えます。

そしてここ最近、「Pポチッと一発!おだてブタ2」や「Pハネモノファミリースタジアム」等、ハネモノ機全般が中長期にわたって安定稼働を続けています。そんな中、6月に開催された日工組の通常総会後の懇親会にて、日工組の榎本理事長をはじめとした団体代表の方々より、ハネモノ機や低中射幸性機の拡充についての話がありました。

昨今、ハネモノ機のリリース数は多くありません。それにはいくつかの理由がありますが、本稿では大きな2つの理由を指摘したいと思います。

1つ目はホール、メーカー共に「大きな商売になりにくい」ことが挙げられます。ハネモノ機はその性質上、どうしても単価が上がりにくい機械であり、中長期にわたって活躍することが大前提となります。また派手に利益が出るというわけでもなく、ユーザー側も出玉を期待して朝から並ぶ性質の機械ではないということもあり、ホール側としても大量導入という選択肢が取りにくくなります。一方でメーカー側も自社の利益を考えた場合、あまり販売台数が期待できないハネモノ機を積極的に開発しようとはなりません。

2つ目は、「開発が非常に難しい」ことが挙げられます。2004年の規則改正によって不正に強い遊技機作りが推進されることになった分、様々な制約が課されることになり、結果としてハネモノ機に関しても開発費及び製品単価が大きく上昇したのです。また、不正に強い遊技機開発というのは、その分、遊技玉の「遊び」が減ることにもつながり、それらを全て乗り越えてでも開発しようとするほどの意欲は次第に薄れ、今ではほとんど開発しなくなってしまいました。

これがハネモノ機衰退の原因ですが、何事も過ぎたるは及ばざるが如し、現在のぱちんこ機市場が出玉性能に特化した機械や画一化した機械が溢れてきた状況下において、独自性を持ったぱちんこ玉の動きにハラハラドキドキする遊びやすいハネモノ機は、今の時代だからこそユーザーの支持が徐々に集まりだしたともいえるかと思います。日工組も積極的に推進していきたいという意気込みを出したからには、今後も継続的にハネモノ機はリリースされるでしょう。

そうなれば、次のバトンはホール側に移ります。メーカーが機械を開発し、実際にリリースしようとも、ホール側が機械を購入して設置しなければユーザーが打つ機会は生まれません。そしてユーザーが遊技しなければ、メーカー側は過去と同様、ハネモノ機開発を徐々に諦めていくのは自明です。

もちろん、ハネモノ機は大量導入によって大きな利益を生み出すような、派手な存在ではありません。しかし、現在のぱちんこ市場に不足しつつある「玉の動きを楽しむ」という原点をユーザーに提供できる、数少ない存在でもあります。

メーカー側がそうした機械を再び世に送り出そうとしている今だからこそ、ホール側にも短期的な稼働や利益だけではなく、中長期的な視点でハネモノ機を育てていただきたいと思います。1店舗に何十台も必要な機械ではありません。たとえ数台、あるいは1台であったとしても、設置するホールが全国で少しずつ増えていけば、それが次のハネモノ機開発へとつながり、ひいてはぱちんこの遊びの幅を守ることにもつながっていくはずです。

荒井孝太(チャンスメイト代表)

荒井孝太(あらい・こうた)
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト( https://chancemate.jp/ )を設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。

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