店舗運営・経営

廃業やM&Aを考えたとき、不動産は売却したほうが良いのか?

資産活用プロフェッショナルの視点
廃業やM&Aを考えたとき、不動産は売却したほうが良いのか?
文 = 三戸 浩/text by Mito Hiroshi

結論を申し上げる前に、昨今のM&A事情について簡単にお伝えしたいと思います。

日本企業全体で見ると、東日本大震災前後で落ち込みはあったもののM&Aの件数は基本的に右肩上がりです。某シンクタンクの調査によれば2024年は約4700件と、過去最高を記録しました。その理由としては、「後継者がいない」「不採算事業を切り離したい」「支援制度の拡充」などが考えられます。少子高齢化が進む一方ですから、「後継者がいない」という問題は簡単に解決できるはずもなく、今後もM&A件数は増えていくことでしょう。

パチンコ業界に関して言えば、2024年は前年に比べて成立件数が微減しました。これは、買い手と売り手の価格が合致しない、もしくは規模的に難しいことが要因と思われます。とはいえ、店舗数は減少を続けており、売り手は一定数いるはずですので、M&Aが下火になることはないでしょう。

売却か貸し出すかはケースバイケース

さて、問題のM&Aに伴う不動産の処し方についてですが、中小企業のオーナーが不動産をどうしたらよいか悩んだ場合、いくつかのパターンが考えられます。大別すると、①売却、②手放さずに貸し出して賃料を得る、の2つです。

まず、①の売却ですが、一般的に税金が高めなのが特徴。個人保有か法人保有か、所有年数や売上の状態などで納税額が異なってくるため、詳しく知りたい場合は専門家に訊くのが一番です(弊社にお問い合わせいただくと嬉しいのですが)。

そして、②の事業は譲渡するが不動産は譲渡せずに保有しておき、M&Aの相手に貸し出して賃料を得る方法。創業者から引き継いだ場所を売却せずに保有し、近年は不動産の価格も高騰していることもあり、含み資産を増やしつつ定期的な収入を得られることがメリットとなります。賃貸料は、駐車場の有無や設置台数を元に決定するのが一般的です。ほかに、立地や人口密度、競合店などを考慮します。中には、売ってしまったら二度と入手できない場所もあるでしょうから、このあたりは熟考する必要があると思います。

また、場所によっては保有している不動産がとてつもない価格となる場合もあります。簿価や購入時の価格と比較した場合、資産の入れ替えを検討したり、その資金を運用に充てたりすることも可能でしょう。また、ホール業界から撤退して新規事業に参入した実例もありますので、パチンコ業界が過渡期となっている今は、そういったチャンスと捉えることもできるのではないでしょうか。

当該不動産がどこにあるのか、土地価格の変動予測はどうなのかなど、様々な要因が絡み合うことによって、売却したほうが良いのか、それとも保有しておいたほうが良いのかの判断が変わってきます。当然、それに関連してベストとなるM&Aのスキームも変わってくるのです。売却と決めた場合でも、購入側が引き受けた店舗に投資する建築費や人件費は日々変動していますから、売却価格がベストとなるタイミングを見極めなければならず、ここは経験値が物を言います。最適解は、ケースバイケースと言えるでしょう。

私たち専門家は、様々な角度から分析し、税金の繰延などを含めて納得いただける方法をご提案します。M&Aを考えている場合、不動産をどうすべきか悩んでいる場合などは、お気軽に相談していただけたらと思います。


■ 三戸 浩
宅地建物取引士の資格を持つ、株式会社プロパティー社長。大学卒業後新卒で大手デベロッパー企業に入社、1996年にプロパティーに入社し、5年後には代表取締役に就任。M&A、テナント誘致、賃貸運営、店舗開発などを手がけており、ホール企業からの信頼も厚い。

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