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モラハラ加害者はその認識がないパワハラに発展する前に対策を

悩める現場の「ミカタ」
モラハラ加害者はその認識がないパワハラに発展する前に対策を
文 = 坂本勝章(萬・COI 代表)/text by Sakamoto Masaaki

今回は、モラルハラスメント(Moralharassment)を取り上げたいと思います。通称はモラハラ。定義はパワハラに近いのですが、パワハラが物を投げつけるといった行動が含まれるのに対し、モラハラは言葉や態度による精神的な攻撃だけを指します。例えば、上司が部下に対し「役立たず!」と大声で怒鳴るのはパワハラですが、「キミ、大学出てるんだよね?」と静かに言うのはモラハラに該当するのです。

パワハラに発展すれば会社にも大ダメージが

モラハラのやっかいなところは、ほかのハラスメントと違い、加害者は「自分が正義」であり「他者が悪い」と思い込んでいることです。判断基準が自分の物差しなので、その行為がモラハラに該当するという認識がありません。無意識に周囲の人を攻撃してしまうのです。

なぜそうなってしまうのかというと、その人が育った環境や家族関係、教育などの外的要因によって形成される人格や価値観にあると言えます。周囲の人はその人に違和感を覚え、その言動を問題視することになるわけですが、些細なことであればスルーしてしまうでしょう。何人もの同僚から「お前は変わってるなぁ」と言われるようなら、モラハラ加害者の予備軍かもしれません。

モラハラのもう一つのやっかいなところは、パワハラに発展しやすいことです。例えば、上司が正論を振りかざし、部下が意見を言えないような環境をつくった場合。「このプロジェクトは何としても成功させなければならない!」とハッパをかけると、部下はミスを怖がり萎縮してしまい、モラハラのギリギリのラインとなるでしょう。これを強く繰り返せば、言われた人には大きなプレッシャーとなり、過度なストレスとなってしまいます。こうなるともう、パワハラの範疇。損害賠償請求に発展しかねません。

これだけでなく、チーム全体のパフォーマンスが低下し、プロジェクトが失敗に終わってしまうかもしれず、そうなれば本末転倒です。被害者が離職することも大いに考えられ、会社組織にダメージを与えてしまうかもしれません。

少し話は変わりますが、大学の駅伝で、ある監督が選手に対して区間の後半で「男だろ!」と檄を飛ばしたシーンがテレビ中継され、話題になったことがありました。当時は賛否両論ありましたが、LGBTなどに敏感な今は性別や年齢に関わる言動はモラハラとみなされる可能性が高いので、留意しておきたいところです。「男のくせに」や「老害」といった表現は、使わないほうが無難でしょう。

企業としては、傾聴トレーニングやアンガーマネジメントを取り入れることが有効。職場の雰囲気が改善され、ハラスメントを抑制する効果が期待できますし、そういった実例もあります。そして、もっともやってはいけないことは「加害者(上司)と被害者(部下)」とで話合わせるということです。

ほかのハラスメント対策と同様に、相談窓口の設置、できればプロのカウンセリングを受けられる外部の専門家との提携が有効なのは、言うまでもないでしょう。


■ 坂本勝章
萬・COI代表。国家資格キャリアコンサルタント。大手エンタメ企業、ホール企業を経て、2015年に萬・COIを独立開業。組織や人事管理、労働環境、ハラスメント窓口などの改善支援や外部顧問、研修講師として業種を問わず幅広く活躍している。

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