理論に基づく業績改善手法×ホール経営実務経験
マーケティング知識がなければ お客様・市場を分析できません
文=宮川雄一(コンサルタント)/text by Miyakawa Yuichi
マーケティングの知識は実際のところ、あまり営業に活用できていないのが現状でしょう。「営業に活かせなければ学んでみても意味がない」と思ってしまうことは当然ですので、学ぶ側の問題だけでなく、教える側の問題でもあると感じます。
マーケティング不在だと施策の効果が低いのです。
今は環境変化のタイミングです。6.5号機の登場以降、高単価機種中心にスマスロをはじめとして、スマパチ、ラッキートリガーが登場。今後はBT機やLT3.0の登場も控えています。特に高単価機種の場合には、負け金額も負け率も上がりますので、お客様の離反や来店回数の減少が起きやすいことは容易に想像がつきます。
では、高単価機種の設置比率が増えた場合の、お客様の動きを正確に把握できているでしょうか。お客様がどのように反応して、市場全体の状況がどのようになっているかを、まずは分析もしくは観察すべきです。そのうえで営業戦略を考えないと、営業戦術に落とし込んでも効果が出ないのは当然です。
お客様の反応や市場全体の状況を、どう分析するかが重要です。おそらくまずは客数データを使うはずですが、その場合の客数データは機種別の客数のデータが元になります。こういったデータは、お客様がご遊技されたうえでのデータではありますが、〈遊技機のデータ〉です。他業種の表現を借りれば「商品別」のデータ、すなわち供給者側のデータです。これでは不足であり、もっと工夫が必要です。お客様の動きを把握するには、〈お客様の動き〉のデータが欲しいのです。
たとえば、ターゲットマーケティングという考え方があります。お客様を行動特性や購買態度といった切り口からグループ分け( セグメンテーション)したうえで、どのグループをターゲットにするかを決めて(ターゲッティング)、ターゲットとしたグループから支持を受けるように取り組む(ポジショニング)ことを推奨する考え方です。
ここでのセグメンテーションの切り口は、①地理的変数、②人口統計的変数、③心理的変数、④行動的変数の4種類が基本となります。商品別といった切り口はありません。なぜなら、お客様の行動特性や購買態度に応じたマーケティングであり、お客様に行動してもらい、結果を出すために、「お客様をどう分類すれば、営業のヒントを得られるか、戦略を立てられるか」を考えるための手法だからです。あくまでもお客様のデータを分析するのです。商品別のデータでは、どの商品が売れ筋かといったことは分かりますが、お客様がどう動いているかを把握し、お客様を動かすためのヒントを得るには弱いのです。
実務上は、機種別客数データをどのように工夫すれば、「お客様の動きを把握し、動かすためのヒントを得られるか」という知恵が必要です。
セブンイレブンがPOSに追加データを入力している工夫と同じことです。その意味では顔認証との併用は効果的です。
読者の皆様には、ぜひ、お客様の動きを的確に把握したうえで、的確な営業戦略を実行して効果を出していただければと思います。
この他にマーケティングの知識を営業に活用できる領域としては、「シェア論」があります。これは設置台数や稼働予測などにも活用できますし、営業に活用する観点で学べば学ぶほど効果的です。

■宮川雄一
株式会社アミューズ・ファクトリー 代表取締役社長。慶應義塾大学卒。外資系コンサルティング会社で理論に基づいた業績改善手法を現場に適用する経験を積んだのち、パチンコ業界でチェーン店と販社を経営する企業の経営に参画。チェーン店は2年間で既存店売上高を5割増、グループ全体を高成長させた。2007年、株式会社アミューズ・ファクトリー設立。
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