「パチンコホール 法律ハンドブック」監修者が解説
「著しく射幸心をそそるおそれ」を抑制するための風適法のしくみ
文 = 三堀 清(弁護士)/text by Mihori Kiyoshi
今回は風営適正化法のパチンコホール営業に対する規制の大枠を説明する。
パチンコは、昭和29(1954)年の改正により当時の風俗営業取締法の規制対象に加えられたが、現行の風営適正化法では「…設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」とされており、この定義自体から、出玉に対して賞品を提供するという射幸性故に規制対象にされていることが明らかである。そしてこのことは、同法のパチンコに対する規制目的が必然的に射幸性の抑制に収れんすることを意味するものでもある。
では、風営適正化法は、どのような方法で射幸性の抑制という規制目的を実現しようとしているのであろうか。
その第一の方法としては、遊技機の出玉性能の抑制が挙げられる。
出玉が極端に多いと、過大な賞品が提供され、結果的に「著しく射幸心をそそる」ことになるから、先ずは出玉性能を一定範囲に抑え込もうというのである。すなわち、「…遊技機が著しく客の射幸心をそそるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める基準に該当する」場合には公安委員会は風俗営業の許可をしてはならず、許可を受けたホール業者もこのような遊技機を設置して営業してはならないとしているのである。なお、この「基準」は施行規則8条に定められ、「基準」に該当しないことの「技術上の規格」が遊技機規則6条に定められている。
このように、風営適正化法の下では、ホールの開業には、公安委員会による遊技機が「著しく射幸心をそそるおそれのある」基準に該当しないかという点についてのチェックを経て風俗営業の許可を受けなければならず(もちろん他にもチェック項目はある)、それに留まらず、許可を受けて開業した後も、遊技機の修繕や入替えには、同じく公安委員会によるチェックを経て承認(変更承認)を受けなければならず、事後的に遊技機の性能が改変されないようにも規制されている。
この観点から、裏ロムやくぎ曲げによる不正改造等の無承認変更は、風俗営業の許可制度自体に反する無許可営業等に次いで重いペナルティで、刑事罰は1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこれらの併科、行政処分は量定「A」で営業許可取消が科されるのである。
風営適正化法の射幸性の抑制という規制目的を実現する方法としては、第二に料金及び賞品の提供方法の規制が挙げられる。
遊技料金の高額化と賞品の高額化は相関関係にあり、これによる射幸性の昂進防止のため、遊技料金はパチンコ玉1個4円・パチスロメダル1枚20円が上限とされ、賞品は「遊技の結果として表示された遊技球等の数量に対応する金額と等価の物品」で(等価交換規制)、上限が9600円とされているのである。
また、偶然の勝敗に関して少額でも金銭が賭けられると賭博罪が成立するが(大審院判決大正13年2月9日)、「一時の娯楽に供する物」を賭けたに留まるときは賭博罪は成立しないとされていることから(刑法185条)、賞品としては「日常生活の用に供すると考えられる物品」を取りそろえることが義務づけられ(施行規則36条2項2号)、また、金銭や有価証券を提供すること、業者が客に提供した賞品を買い取る自家(直)買い等が禁止されている。
以上に関連して、広告・宣伝において、入賞の容易な遊技機の設置や、容易に大量の出玉が得られること、業者の自家買いへの関与をうかがわせる等の表示をなすことも禁じられている。

■ 三堀 清
丸ビル綜合法律事務所パートナー(元・三堀法律事務所代表)、弁護士。元・PCSA法律分野アドバイザー。パチンコホールをはじめ企業関連の民事事件を手掛ける。風営適正化法及び廃棄物処理法関連業種の事案、閉鎖会社の内紛および債権回収、滞納管理費等の回収から派生したマンション管理に関する事案などを得意分野とする。
コメント