コラム

店長が知っておくべきパチンコ営業の「法的正当性」と「風適法のズレ」

ホールの現場では、若手社員から「なぜパチンコは、キャバクラや性風俗と同じ法律で縛られているのか」という素朴な疑問を投げかけられることがあるのではないか? これに対し、単に「決まりだから」と答えるだけでは、役職者の指導とは言えない。この問いに答えることは、パチンコ営業の「法的正当性」と、業界が抱える「風適法のズレ」を正しく理解することに他ならない。

ルーツは「二大犯罪」の未然防止

現在の「風適法」の前身である「風俗営業取締法」が制定されたのは、戦後間もない1948年のことだ。当時の国家地方警察本部、武藤文雄警視は法案の趣旨をこう述べている。「刑法の風俗犯で最も実施的内容をなすものは、端的に申せば賣淫(売春)と賭博でございます。犯罪が起こってから検挙するのではなく、防犯的な見地から……」。つまり、この風俗営業取締法は「売春」と「賭博」という、刑法上の犯罪に直結しやすい欲望を、警察の管理下に置くことで未然に防ぐことを目的として制定された。

「風俗」とは、本来「社会の風習や日常生活のあり方」を指す広い概念だ。昭和20年代の法制定当時、ダンス、遊技(パチンコ)、飲食、性風俗などは、いずれも人々の「遊び」という風習(風俗)の一部として捉えられていた。そのため、これらを一つの法律で「風俗営業」と総称することに、当時の言語感覚としての矛盾はなかった。

「許可」は国による適法性の証明

店長が部下に伝えるべきは、パチンコホールが「無許可での営業が禁止されている行為を、特定の条件を満たした場合に解除するもの」として許可されていることの重みだ。風俗営業(第1号から第5号)はすべて都道府県公安委員会の許可を得た営業だ。

一方、ソープランドやデリヘルといった性風俗関連特殊営業は、営業開始後に届け出る義務を負う形態。許可を待って開始する性質のものではないため開業のハードルは低いが、警察行政がこれを「許可営業」から「届出営業」へと移動させたのは、「積極的な公的許可を与え制度的な是認・保証とされないよう、届出により営業を把握・規制する方が適当」と判断したからだ。

許可営業であるパチンコ店(4号営業)は警察による厳格な事前検査をパスしなければ営業が認められない。この厳しいプロセスこそが、パチンコ営業が関連する法を順守する限りは、賭博犯罪とは一線を画した、「法の管理下にあるレジャー」であることの盾となっている。

大きくなった「法的な不自然さ」

しかし、一方で我々は現行法の不自然さにも目を向ける必要がある。1984年の法改正により、「性風俗関連特殊営業」は「風俗営業」とは切り離された。しかし風俗営業の中には今も、歴史的・実質的に「売春犯罪(およびそれに付随する性搾取)に結びつきやすい環境の抑止」を主眼とした規制対象業種が残っており、「射幸心の抑制」のための規制対象という性質の異なる業種と同居している状態だ。

世間一般には、この「許可」の風俗営業と、「届出」の性風俗関連特殊営業の法的な差異はほとんど認識されていない。法律が「性風俗関連特殊営業」を「風俗営業」から切り離したにもかかわらず、「風俗」という言葉に対して世間が抱くイメージは、ほぼ「性風俗」と同じだ。結果として、厳格な許可基準のもとにあるパチンコ等の4号営業が、性風俗関連特殊営業と同一視されるという不利益を被っている。

正しく理解し、正しく疑え

アメリカやイギリスでは、ギャンブル、性風俗、一般娯楽はそれぞれのリスクに応じて個別の法律で管理されるが、日本は「善良な風俗」という包括的な管理体制を維持している。この構造こそが、パチンコに対する色眼鏡を固定化させている要因の一つと言える。

ルールを守ることは、店と客を犯罪から守るプロの務め。風適法や業界の自主規制の遵守に妥協を許してはならないのは、「賭博犯罪の防波堤」という社会的役割を担っているからだ。「我々は国の厳しい許可を得て、健全な娯楽を守り抜いているのだ」と誇りを持って部下に語ってほしい。同時に、自らの業が置かれた法的枠組みの特異性に疑問を持つことも必要だろう。

エディター=田中剛(Answers)

 

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