文 = 橋本大志(動画クリエイター)/text by Hashimoto Hiroshi
先日、灘高校出身メンバーで構成されるYouTubeチャンネル「雷獣」が公開したパチスロ解説動画がSNS上で大きな話題となった。興味深いのは、動画の内容そのものよりも、彼らがパチスロの魅力をどのように表現したかである。
ホール関係者でもメーカー関係者でもない彼らは、パチスロを「出玉」や「勝敗」だけで語らなかった。むしろ彼らが面白がっていたのは、ホール内に散りばめられた情報から店の意図を推理する過程だった。

店内POP、装飾、機種構成、配置、過去の傾向。
一見すると何の意味もない情報の断片を集めながら、「この店は何を伝えようとしているのか」を考察する。その様子は、もはやギャンブルというよりも謎解きゲームに近い。
業界関係者にとっては当たり前の光景かもしれない。しかし、これほど分かりやすくその面白さを言語化した事例は昨今においては見られなくなった光景ではないだろうか。
特に興味深かったのは、彼らが店内POPを「情報」ではなく「ヒント」として捉えていた点である。

「このPOPは何を意味しているのか」「なぜこの日にこの装飾なのか」「なぜこの機種が全面に出ているのか」。正解は分からない。しかし考えること自体が面白い。
これは実際に多くのユーザーが楽しんでいる文化でありながら、業界の自発的な発信では、発信されてこなかった価値である。ホール側が同じ内容を発信すると、「設定示唆」「特定機種への誘導」「過度な期待感の醸成」と受け取られる可能性があるからだ。
私自身、パチンコホールのSNS運用に携わる中で、どこまでが表現可能でどこからが広告宣伝上の問題になり得るのかを常に意識している。だからこそ今回の事例は興味深い。業界外の第三者だからこそ、業界人が語れない魅力を自由に語ることができたのである。そして今後は、このような現象がさらに増えていく可能性が高い。考察系YouTuber、高学歴系クリエイター、ゲーム実況者、etc.
彼らがそれぞれの視点でパチスロを解釈し始めれば、従来とは異なる層に業界の魅力が届くことになる。
ホールが学ぶべきことは、彼らを単なる広告塔として利用し、表現の幅を狭めることではない。ユーザーが思わず語りたくなる体験を店舗の中に作ることである。考察したくなる仕掛け。友人と議論したくなる発見。SNSで共有したくなる違和感。そうした体験があるからこそ、第三者による発信が生まれる。
雷獣の動画は、パチスロの魅力を再発見させた動画だったと言える。そして同時に、これからのSNS時代において重要なのは「何を発信するか」ではなく、それを見た「ユーザーが何を語りたくなるか」であることを示した事例でもあった。
業界の魅力は、必ずしも業界自身が語る必要はない。むしろ外部の人間が自由に解釈したとき、新たな価値として再発見される時代が始まっているのかもしれない。


