遊技機開発者の視点
今こそぱちんことパチスロの違いについて考える
文 = 荒井孝太(チャンスメイト 代表取締役)/text by Arai Kota
近年の全国的なマクロデータを追いかけていますと、ぱちんこからパチスロへ、パチスロからぱちんこへと回遊するユーザーが以前よりもかなり増えてきました。ひと昔前までは、規則改正等の大きな基準変更の際はユーザーの行き来はあったものの、ぱちんことパチスロ間でユーザーの行き来が活発だった印象はありません。そんな今だからこそ改めて、ぱちんことパチスロの違いについて考えてみたいと思います。
まず開発的なことに言及するのであれば、同一のメーカーであっても、ぱちんこ開発とパチスロ開発は同じチーム開発どころか、情報共有すらそれほどおこなわれていないことが一般的です。中には、機密等の観点から部署間の交流すら禁止しているメーカーがあるほどです。
しかしながら、それでは開発リソース的にもったいないということもあり、映像制作における素材等は共有しているメーカーは多いのですが、これも開発会社を経由して共有していることが少なくありません。そのため、同じメーカーの同一版権機だったとしても、ぱちんことパチスロで全く異なる開発をすることの方が一般的だったりしますので、「ぱちんこ(パチスロ)の○○が良かったから、今回のパチスロ(ぱちんこ)も良い結果が出る可能性が高い」という考えは早計でしょう。
さて、ぱちんことパチスロの違いについて考えてみたいと思います。元来、ぱちんこは能動的、パチスロは受動的なゲーム性となっていますので、ぱちんこはずっと見続ける映像演出やゲーム性にこだわって開発をすることを重視しています。一方でパチスロは、レバーオンのタイミングによって演出が飛んでしまうので、あまり映像制作には重きを置かないことが多いです。
ぱちんこが0コンマ何秒に至るまで演出やタイミングの間にこだわるのに対し、パチスロはレバーオン時の自力感や打感等を重視することが多いです。
また、ハンドルを握り続けていれば1分間に100発が同じタイミングで発射されるぱちんこに対し、打ち手のスピードによって同じ1分間でも投資金額が変化するパチスロは通常時演出においてもチャンス時以上の際に期待できる演出が発生し、それ以外はほぼ何も起こらない等、非常にメリハリがある作りが多いです。
ここでお気づきになられた方も多いかもしれません。そうです、ぱちんこの演出やゲーム性の作り方が、徐々にパチスロに寄ってきているのです。チャンス以上の熱い時だけ告知をする先バレ演出や通常時の変動効率を高めるデカヘソ機等、パチスロで特徴的だった内容がぱちんこにも徐々に受け入れられてきたのは、「ぱちんこへのパチスロユーザーの流入が多くなった」からなのか。それとも、「ぱちんこをパチスロ的にしたから流入が増えた」のか。それは定かではありませんが、そのような大きな流れになってきている事実は見逃せません。また、LT3.0プラスで可能になったスペック( C Z や多彩なRUSH性能)も、よりパチスロ的な流れが加速する可能性があります。
この大きな流れを踏まえつつ、機械選定や自店舗における機械の設置個所(店内の導線作り)、ユーザーに向けた販促施策等を考えなければなりませんし、またそんな時代になっているからこそ、ぱちんこやパチスロ、それぞれにしかない機械的な魅力がより重要になってくるのは間違いありませんので、今後はそのあたりを少し踏まえつつ、機械選定をしてみてはいかがでしょうか。
■ 荒井孝太株式会社チャンスメイト 代表取締役。パチンコメーカーで営業、開発を歴任後、2017年に遊技機開発会社チャンスメイトを設立。パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受けている。
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