文 = 宮川雄一(コンサルタント)
現在の営業環境では、射倖性が高い高単価機種を設置することが可能ですので、そうした機種を好んで遊技するヘビーユーザーを中心とした常連客の使用金額は、必然的に多くなっている状況が続いています。
また、射倖性の高い高単価機種は、勝ったときの金額が大きくなる一方、負けたときの金額も大きくなります。そのため、負けが続けば遊技を控えることもあり得ますし、遊技する店舗を競合店に変えることも想定されます。
一方で、店舗の収益性を確保するためには、来店客から一定の粗利を確保し続けなくてはなりません。多くのライトユーザーを獲得できる店舗でない限り、ヘビーユーザーの常連客にも粗利を負担してもらう必要があります。立ち回りに長けた若年層パチスロユーザーの獲得が中心となっている店舗では、平常営業時にヘビーユーザーの常連客に粗利を負担してもらう必要性が、さらに高まります。
このような背景から、ヘビーユーザーの常連客が負けやすい状況が続いています。
では、皆さんの店舗では、負けが込んで離反されては困る顧客はどのような人なのかを把握していますか? そして、そうした顧客を適切にマネジメントできていますか?
離反されては困る顧客、すなわち上位優良顧客の定義やマネジメントについて、ヒントや視点を与える考え方として、マーケティングの概念に「RFM分析」があります。
上位優良顧客をどう定義するか
「RFM分析」は、どのような顧客が店舗にとって大切なのか、つまり上位優良顧客を定義するための概念です。顧客をR( Recency:直近来店日)、F( Frequency:来店頻度)、M(Monetary:累計使用金額)の3つの観点から評価し、例えば5段階評価とする場合には、5-5-5の評価を持つ顧客が最も良い顧客と考え、1-1-1の評価の顧客は顧客として扱うべきかを検討する、といった考え方をします。
したがって、「RFM分析」の3つの観点からは、累計使用金額が多く、来店頻度が高く、最近も来店している顧客が、店舗にとっての上位優良顧客ということになります。
パチンコ店ビジネスの実務を考えると、来店客のうち会員になっている人の割合が低く、顔認証システムもない店舗では、RFM分析の3つの観点から顧客を把握することができていないはずです。結果として、上位優良顧客を把握できず、離反した場合の営業的なフォローもできていないはずです。
顧客の離反を防ぎ、集客効果を高める
上位優良顧客への対処ができていない場合、一定の客数や稼働を維持するためには、離反による客数減を穴埋めするための作業、すなわち集客に力を入れることになります。しかし、集客による獲得客数を離反客数が上回れば、当然、顧客は減ってしまいます。
「バケツの理論」の通り、バケツの底に穴が空いている状態と同じように、離反客が多い状態で一生懸命に集客しても、業績が良くならないことは当然です。これは、4円パチンコの不振状態の要因として考えられるパターンです。
大切なことは、バケツの底の穴(=離反客の数)を小さくする努力をしたうえで、集客を頑張ることです。
まずは上位優良顧客を定義したうえで、その動向を何らかの方法で把握し、離反の兆候が見受けられる段階で営業的なフォローができるようにすべきです。
実際のところ、実務面で一定の仕組みを作れば、上位優良顧客の動向と離反のマネジメントは可能です。取り組まないことは、根本的な問題を放置していることになります。



