戦略立案に必要不可欠な商圏特性の理解について
戦略立案に必要不可欠な商圏特性の理解について
文=宮川雄一(コンサルタント)/text by Miyakawa Yuichi
今回は、マーケティングにとって重要な商圏特性について、解説したいと思います。
最近分析したある商圏では、パチンコ全体客数に占める4円パチンコ客数の割合が極めて低い状況でした。ほとんどのお客様が低玉を遊技していたのです。
注意すべき点は、4円パチンコ客数割合の低下や、4円パチンコの市場全体の客数の減少が、「パチスロと比較したパチンコの(主に遊技機の)相対的な魅力」という観点で説明されてしまうことです。それは、相対的なパチンコ低迷状況の、あくまでも要因のひとつにすぎません。なぜかというと、商圏人口における高齢者の割合が高まれば、それに連動して低玉を遊技するプレイヤーの割合が上昇する傾向があるからです。
4円パチンコの客数よりも低玉の客数が多いことが当たり前の光景と思ってしまうと、営業面での判断を誤る危険があります。
たとえば、今回分析した商圏遊技客数に占める4円パチンコ客数の割合の低さは、主にそのエリアの高齢化によるものです。したがって、仮に魅力的な遊技機を揃えたりするなどの4円パチンコの低迷の要因を克服しても、たいして業績は上がらないはずです。新規出店でも苦戦します。4円パチンコの営業努力では克服できないのです。
これに対して、高齢化がさほど進行していない商圏では、4円パチンコの客数割合の低下は別の要因です。これは、パチスロとの相対比較の観点で説明できます。台粗利の高さの観点からも、遊技機の魅力次第では4円パチンコの可能性を模索し続ける営業姿勢が大切です。
それでは、高齢化が進行した商圏でのパチスロの可能性はどうでしょうか?分析していただければご理解いただけると思いますが、高齢化が進行している商圏でも、パチスロでは低スロよりも20円貸しパチスロの客数割合が高い傾向が見受けられます。
実は低スロ比率の上昇は違う商圏特性の要因によるものが一般的です。ただし、市場全体客数ではパチンコ客数よりもパチスロ客数が下回る状況下での現象です。
高齢者は、新しい技術の導入に伴う新たな操作方法に抵抗感を示す傾向がありますから、技術介入の要素が強いパチスロを敬遠しがちとなります。かつてのスマホ普及期に、高齢者層の中ではしばらくはガラケーユーザーが根強かったことからも伺い知れます。
このように今後もおそらく高齢化に伴い低玉客数の割合が上昇しやすい商圏では、4円パチンコの低迷の要因が〈商圏の高齢化〉と混じってしまいますのでご注意ください。
また、高齢化が進行しても、低スロ客数比率はさほど上昇しませんが、パチスロ全体客数には影響します。これが、高齢化が進行している商圏ではパチスロ専門店が成立しづらい背景でもあります。
一方で、高齢化がさほど進行しないうちは、本来は4円パチンコの潜在的な可能性があるとの前提で、諦めずに営業していただきたいです。4円パチンコ部門が弱体化すると、PS回遊客の集客が弱くなるからです。
今回はデモグラフィック特性の中の「高齢化」に着目して解説しましたが、これ以外にも商圏特性を理解するための切り口はさまざまあります。商圏特性を理解できれば的確な戦略を構築できます。マーケティングにより一層ご関心をお持ちいただければと思います。

■宮川雄一
株式会社アミューズ・ファクトリー 代表取締役社長。慶應義塾大学卒。外資系コンサルティング会社で理論に基づいた業績改善手法を現場に適用する経験を積んだのち、パチンコ業界でチェーン店と販社を経営する企業の経営に参画。チェーン店は2年間で既存店売上高を5割増、グループ全体を高成長させた。2007年、株式会社アミューズ・ファクトリー設立。
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