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金利や物価が上昇していく世の中で現役世代は何を考えればよいのか

闘う経済アナリストがわかりやすく解説

金利や物価が上昇していく世の中で現役世代は何を考えればよいのか

文 = 森永康平(マネネ CEO)/text by Morinaga Kohei

人生の中で最も大きな買い物といえば、多くの人にとっては住宅である。そもそも現金一括で家を買える人はごくわずかで、ほとんどの人は住宅ローンを組む。そしていま、建材価格や人件費の上昇を背景に、都内を中心に不動産価格が高騰しており、住宅ローンを組むにしても金利のことを考えなければならない。

これまでは金利が長らくゼロ近辺に張りついていたため、変動金利を選択する人が8割弱となっていた。しかし日本でも金利は上昇傾向にあり、3年前の2022年当時の主要都市銀行の住宅ローン金利は変動金利が約0.3%だったが、2025年7月時点の変動金利は約0.66%と約2倍に上昇している(中央値)。今後は固定金利と変動金利の選択が重要になる。

金利上昇局面では、特に変動金利型の住宅ローン利用者は注意が必要だ。変動金利は政策金利や短期プライムレートの動向に左右され、今後も上昇が予想されている。言うまでもなく、金利が上昇すれば返済額が増加するリスクがある。たとえば、金利が0.5%や1.0%上昇した場合の返済シミュレーションをおこない、家計にどのような影響があるか、どの程度の見直しが必要になるかを具体的に把握しておいたほうがよい。

一方、固定金利型はすでに金利が上昇傾向にあり、住宅ローンの借り換えのメリットは薄れつつある。これから住宅ローンを組む場合は、「固定金利で借りても返済可能な金額」を目安に、余裕を持った借入額を設定することが大切だ。また、繰り上げ返済や貯蓄の強化も有効な対策となる。

ライフステージが進むなかで、保険に入るべきか悩む人も増えていくだろう。金利上昇の観点から言えば、生命保険の予定利率が引き上げられたり、保険料が下がったり、将来受け取れる金額が増えたりするケースがある。2024年以降、主要な保険会社は個人年金や学資保険の予定利率を引き上げており、新規契約や見直しの好機と言えるだろう。満期型保険では将来の受取額増加、定期型では保険料の低減が期待できるため、現在加入中の保険の見直しや、より有利な条件の保険商品への切り替えを検討する価値がある。

お金の話でいえば、住宅ローンや保険よりも身近になってきているのが投資だ。金利上昇局面では、債券や預金の利回りが改善しやすくなる。特に変動10年国債や短期間の定期預金は、金利上昇の恩恵を受けやすい商品である。定期預金は1年など短めの期間を選び、更新時にさらに高い金利を狙う戦略が有効だ。また、投資先の分散も重要である。株式だけでなく、債券や海外資産にも分散し、リスクを抑えつつ資産形成を進めることも考えたい。

昨年から始まった新NISAを活用している人の多くは、インデックス投信を積み立てているが、インデックス投信とはいえ、投資先は株式であることには留意すべきだ。景気や金利、為替の変動に備え、長期的な視点で投資を継続することが大切である。

新NISAの制度が始まったことで投資人口は着実に増えているが、「投資は怖い」と感じる人もまだ多いだろう。投資には損失のリスクもあり、必ずしも全員がやるべきとは言えない。しかし、物価上昇が進めば、現金の実質的な価値は目減りする。預貯金だけに頼るのではなく、金利上昇局面では高金利の預金商品や国債を活用しつつ、投資も組み合わせることが家計防衛のポイントとなる。そうした視点を、頭の片隅に置いておくことが重要だ。


■ 森永康平
経済アナリスト、株式会社マネネCEO。証券会社、運用会社にてアナリストとして株式市場や経済のリサーチ業務に従事。2018年6月、金融教育ベンチャーのマネネを創業。『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)、父・森永卓郎との共著『親子ゼニ問答』(角川新書)など著書多数。

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